ししとー(理系)の考察録

将棋と生物学系の知識、時事について考察するブログ

将棋初心者にオススメの戦法(相居飛車編)

 


前回、将棋を指すうえで目指す形という記事を書いた。
未読の方は是非そちらを読んでから、この記事を閲覧してほしい。

 

 

shishitohpepper.hatenablog.com


前回の記事では、相居飛車における最低限の守りの形について書いた。
この形から、矢倉や雁木など様々な囲い(優秀だと分かっている既存の金銀玉の形のこと)に派生するわけだが、正直、初心者は囲いを発展させるよりも攻めに徹した方が良い。


理由は、将棋は相手の王様を詰ますゲームだからだ。

戦術において守りを優先させた場合、当然自分の攻めよりも相手の攻めの方が早いため、自分の王様が詰まされるよりも先に相手の王様を詰ませるためには、どこかでカウンターを仕掛けて守りから攻めに転じる必要がある。

しかし、初心者にはこのカウンターが難しい。多くの方は攻められっぱなしで駒取られまくってボコボコにされた経験があるのではないだろうか?(私ももちろんある)

 

ということで、初心者にはまず攻め方を覚えることをオススメする。そして、今回の記事では攻め方を覚えやすい戦法を紹介していこうと思う。

 


1、まずは棒銀

 

「初心者はまず棒銀をしろ」という言葉はよく聞く言葉だと思う。実際私もその通りだと思うので、まずは棒銀を覚えよう。

棒銀は、その名の通り銀をずけずけと前に出す戦法である。
棒銀の駒の動かし方などについては多くの詳しいサイトが存在するため、以下のようなサイトを参照してほしい。

 

zarigani45.hatenablog.com

 

ここでは、「なぜ棒銀が初心者におすすめなのか」という理由について書こうと思う。将棋において戦法選択の理由を頭に入れておくことは上達する上で非常に重要なことだ。


棒銀が初心者にオススメされる理由として、以下の3つが挙げられる。

 

①攻め方がわかりやすい
②リスクが少ない
③桂馬を使わない

 

まず①について。

そもそも、将棋の攻めの基本は飛車と銀である。棒銀は攻めに基本的にこの2つ駒のみを使う。攻め駒を二つの駒に絞ることで、単純でわかりやすい攻めとなっている。

また、棒銀では、銀と飛車の2枚の攻めで、金1枚の守りを突破する。このことから、将棋の攻めの基本である「駒の足し算」という考え方を理解しやすい。

このように、棒銀は攻め方がわかりやすく、攻めの基本を押さえることのできる戦法だと言える。

 

次に、②について
棒銀では、カウンターに合うリスクが少ない。飛車先以外の余計な歩を突かないからだ。将棋において、歩を前に動かすことは勝つための重要な要素だが、代償として自陣がスカスカになる。そのため、相手に駒を持たれていると、打ち込まれるリスクが発生する。

棒銀では飛車先以外の余計な歩を動かさず、低く構えることでカウンターを貰うリスクが低くしているのだ。

 

最後に、③について
将棋の攻めは飛車角銀桂」というように、本当なら桂馬を攻めに参加させたい。
しかし、初心者が桂馬を動かすと逆に桂馬を攻めの標的にされてしまう。
桂馬の高飛び歩の餌食、というように、初心者の方は相手の歩によって多くの桂馬を打ち取られているのではないだろうか?

しかし、棒銀では攻めに桂馬を使わない。これにより、桂馬を攻撃されるリスクを減らしながら攻めを実現することができるのだ。

 

2、棒銀の次は極限早繰り銀!


1で解説したように、初心者には棒銀がオススメである。
しかし、棒銀には銀が取り残されやすい、様々なデメリットも存在する。具体的には、五段目へ銀の進出を阻まれるとやることがなくなったり、銀が闘いから取り残されたり・・・

 

そこで、棒銀で攻めの基本を覚えた方には「極限早繰り銀」という戦法を紹介する。極限早繰り銀とは、図のように相手の角頭めがけて一直線に繰り出していく戦法のことだ。

 


私が極限早繰り銀をオススメするのは以下の二つの理由からである。

 

①方針がわかりやすい
極限早繰り銀は攻め全振りの戦法である。棒銀と同じく守りは最低限の金上がりだけで、真っ先に銀を攻めに繰り出していく。このことから戦法の方針が非常にわかりやすい。また、相手が対策を知らないことが多いので、非常に成功しやすい。棒銀と似ているが、違う点は角頭を狙う戦法ということである。この戦法では、拠点を作る、角頭を狙う、角と銀の連携など、棒銀から一歩前進した攻めを学ぶことができる。


②後々とても応用が利く
極限早繰り銀における銀の動かし方は、今後様々な戦法において役に立つ。極限早繰り銀で現れる部分的な形は、対振り飛車や対雁木でも頻出である。この戦法を学んぶことで得は多いが損はないと断言できる。

実は、この極限早繰り銀は最近流行したソフト初の戦法で、プロの先生方も多く採用している戦法である。当時非常に注目されていた戦法で、書籍が出版された時は大流行していた。今ではいったんブームが落ち着いたが、それでも優秀でわかりやすい戦法であることは間違いない。


この戦法を覚えることで、角銀飛車の攻め、しいては桂馬を使った攻めも最終的には学ぶことができる。前述したように非常に応用が利く戦法なので、是非ものにして欲しい。 なお、極限早繰り銀を学ぶうえでは以下の定跡書がオススメである。というかこれにしか載っていない。

 

3、まとめ

 

初心者が相居飛車の勉強を始めるときは、まずは棒銀をオススメする。
棒銀に慣れたら、極限早繰り銀にステップアップしよう。この戦法は、多くの戦法の攻めの基本となるからだ。
そして、戦術書はこちらをオススメする。

 


史上最速の攻撃戦法 極限早繰り銀 (マイナビ将棋BOOKS)


極限早繰り銀戦法(将棋世界2017年8月号付録)


戦術書を読む上でのポイントだが、オススメは多くの戦術書を買わずにまずは一つの戦術書を読み込み、戦法の方針を理解して身につけることだ。盤に並べながら読むとなおいいだろう。

 

次回は対振り飛車のおすすめの戦法を書こうと思う。
それでは。