面白い論文紹介①・・・他人の夢を覗き見る方法
他人のみている夢を覗くことができる技術、と言えば夢があるかもしれない。
今回紹介する論文は、
「夢を見ている人の脳波を計測することにより、夢の内容が予測できるかもしれない(!)」技術について書かれている。
※この記事はざっくりとした説明に収めてあるので詳しい内容はこちら
人の夢を覗く・・・非常に夢のある話である。(夢だけに)
筆者としてはまず自分の見た夢を覚えられるようになりたいところだが・・・。
夢日記って実際にどれぐらいの人がやっているのだろうか。本当に夢日記書いたら夢の内容がコントロールできるのかな?
余談はここまでにして、具体的な内容に移ろう。
この論文では、ざっくり言うと「脳波と夢の内容がリンクしていて、その解析方法を作ったよ」ということについて書いてある。
具体的な方法や理屈を以下に解説していく。
1、夢はどんな時に見るの?
そもそも人は夢をどのような時に見るのだろうか?
これに関して、人には二つの睡眠方法があることから説明する。
一つ目がREM睡眠である。
REMとは「Rapid Eye Movement(早い目の動き)」の略である。
REM睡眠をしている時、その名の通り人は眼を高速で動かしながら寝ていることになる。このREM睡眠中の眠りは浅く、一般的にREM睡眠中に人は夢を見やすいと言われている。
二つ目がノンREM睡眠である。REM睡眠とは異なり、素早い眼の動きを伴わない睡眠で、深い眠りであると言われている。(安易な名前だな)
人はこのような二つの睡眠方法を
入眠⇒ノンREM睡眠⇒REM睡眠⇒ノンREM睡眠⇒REM睡眠⇒起床
といった風に約一時間半ごとに繰り返しながら普段寝ているのである。
2、夢の内容を解析する実験の難しさ
さて本題に戻るが、
この論文の著者らは、
①被験者(夢を見る人)の睡眠時の脳波を計測、
②人が夢を見ている時に発せられる脳波を観測した時に、被験者を起こして夢の内容を語らせる
という方法によって夢の解析と脳波の測定を試みた。
しかしながら、この実験方法には二つの問題があった。
一つ目は、夢を見させるのが面倒くさいという点。前述したように、一般的に人が夢を見るのはREM睡眠時である。しかしながら、人は寝始めて最初はノンREM睡眠に移行する。そのため、単純に人がREM睡眠に至るまでは入眠してから一時間半かかるのだ。これを待って脳波を計測するのはあまりにも時間がかかるし面倒くさい。
そこで、「入眠時(寝てすぐのこと)においても、REM睡眠時と似た夢を見ることがある」という報告をもとに、(実際、昼寝でも夢を見るときあるよね)
入眠時の睡眠の脳波を計測することで面倒くさい待ち時間を回避した!
具体的には、
被験者を眠らせる⇒夢に関連するといわれる脳波を発見⇒被験者を起こして夢の内容を聞く⇒被験者を再び眠りに着かせる(以下ループ)
といったことを繰り返した。
(これ被験者が結構辛そうに見えるんだけどどうなんだろう。。。二度寝すると頭痛くならない?)
二つ目は、夢の内容が語る人によってまちまちな事。
個性が表れるのはいいのだが、文章として語られてもデータとして評価することが難しい。
そこで、夢について語ってもらった文章(こう聞くと未来ある若者の会話みたいだ)から単語を抽出し、抽出した単語をカテゴリー毎に分けた。
(例えば、「ご飯やパンを食べた」⇒「食べもの」というカテゴリーに分類した)
そのカテゴリーが夢に表れたor表れなかったという「0か1の判断に落とし込む」ことで、夢の内容を定量的(データとして扱いやすい形)に解析することに成功した!
3、脳波と夢の関係性は?
上記のように、人が見た夢の内容と、夢を見た時の脳波の計測を可能にしたわけだが、実際に脳波と夢の内容に関連性はあったのだろうか?
結果から言うと、夢の内容と脳波には関連性がみられた!
特定の内容の夢を見ている時、確かに特定の脳波が観測されたのだ。
また、それに加えて夢で風景を見ている時にも、現実で風景を見ている時とよく似た脳波が観測された。このことから、「夢を見ているときにも、起きた状態でモノを見ている時と似た脳の活動が起きている事」が示唆されたのだ。
これは「人が夢を見る意味」を考えるうえで重要な情報になるかもしれない。
この技術を使えば、将来的には「脳波をコントロールすることで特定の夢を見ることができる」・・・かも?
4、終わりに
今日紹介した論文は、脳波を見ることで他人の夢を覗くことができるかもしれないという、まさに夢の技術?についての話であった。
こういった研究が発展すれば、将来的には見たい夢を見れるようになったり、他人と夢の世界で遊べるようになったりするんだろうか。
そこまでくるともはやSFの類だけれども。
皆さんは夢の中でやりたいことはあるだろうか?私は空を飛んでみたい。高いところから落ちる夢はよく見るが、未だに空を飛ぶ夢は見たことない。たぶん。
この論文紹介は定期的に行うかもしれない。
それでは。